工場の空調設備は、オフィスビルや店舗とは異なる難しさがあります。
機械の稼働による熱、作業で発生する粉塵やにおい、複雑な天井裏のレイアウト。これらすべてに対応しなければならないため、メーカーのカタログを見ても自社の現場に合う答えがなかなか見つからないというのが実情です。
既製品では寸法が合わず、図面が残っておらず、製作と施工で業者が分かれてしまう状況に頭を抱えている担当者は少なくありません。
この記事では、工場の空調設備に関わる基本的な知識と、現場で起きやすい課題への対処法を順を追って解説します。
工場で使われる空調設備の種類と役割
工場の空調設備を検討するとき、まず理解しておきたいのが設備の種類と目的の違いです。
用途によって必要な設備が変わるため、自社の現場に何が必要かを整理してみましょう。
全体を冷暖房する設備と局所排気は目的が違う
工場内の温度を全体的に管理する全体空調と、特定の場所から発生する熱気や有害物質を排出する局所排気は、目的がまったく異なります。
全体空調はパッケージエアコンや天井吊り型の空調機器で対応することが多く、工場全体の温度を快適な範囲に保つことが主な役割です。
一方、局所排気は溶接ヒュームや塗装ミスト、熱気が集中して発生する場所に対応するための設備です。発生源のそばにフードやダクトを設置して、直接吸い込む方式が基本となります。現場によっては、全体空調と局所排気を組み合わせた計画が必要です。
集塵装置やスポット空調が必要になる作業環境
切削や研磨、溶接などの作業が行われる工場では、粉塵や煙が継続的に発生します。こうした環境では、局所排気だけでなく集塵装置との組み合わせが効果的です。
集塵装置にダクトを接続し、発生源の近くで粉塵を吸い込んで回収する仕組みにより、作業環境の改善につながります。
また、特定の作業台や機械まわりだけを冷やしたい場合には、スポット空調が有効です。全体を冷房するよりもエネルギー効率が高く、作業者の体力消耗を抑えることにもつながります。
ダクトの形状や素材は用途によって変わる
工場で使われるダクトには、角ダクト、丸ダクト、スパイラルダクトなど複数の種類があります。
形状の選び方は、空気の流量、設置スペース、既存の設備との干渉具合によって異なるのが一般的です。天井高が低く梁が多い工場では、スペースに収まる角ダクトが適しているケースが多いといえます。
素材については、一般的な換気用途には亜鉛めっき鋼板が使われますが、厨房や化学物質を扱う環境ではステンレスが選ばれます。ステンレスは耐食性と耐熱性に優れる一方、加工の難易度が高いため、溶接や仕上げまで対応できる業者選びが大切です。
工場の空調設備で特注対応が必要になるケース
工場の空調設備は、標準品だけでは対応しきれない場面が少なくありません。
特注対応が必要になる代表的なケースを見ていきましょう。
古い設備の交換で図面が残っていない
20年以上稼働してきた工場では、当時の施工図面が残っていないことがほとんどです。既存のダクトや集塵フードを交換したくても、正確な寸法や接続仕様が不明なまま発注しなければならない状況は、担当者にとって大きなハードルになります。
このような場合は、現物の寸法を現場で測定し、接続部の形状を確認してから製作に入ることで、寸法違いを防げます。図面がない場合は、現場調査から対応できる業者を選ぶことで、製作までの流れを組み立てられるでしょう。
レイアウト変更で既存ダクトのルートが取れない
生産ラインのレイアウト変更や機械の増設に伴い、既存のダクトルートが使えなくなるかもしれません。天井の梁や新設の配管が邪魔をして、既製品のエルボーやジョイントではうまくつながらないという状況は、工場の設備工事では日常的に起こります。
こうした現場では、干渉する部分を避けてダクトを取り回すための特注部材が必要です。現場の寸法を正確に把握し、その場で適切な形状を判断できる加工技術が求められます。
ステンレス素材の加工には熟練の溶接技術が必要
厨房や薬品を扱う工場向けのダクトやフードには、耐食性に優れたステンレスが使われます。しかしステンレスは、加工するほど素材が硬くなる加工硬化という性質を持ち、溶接時に熱歪みや焼けが発生しやすい難加工材です。
技術が不十分な溶接では、接続部に微細なすき間が生じて油漏れや空気漏れの原因になります。
また、熱歪みが残ったままでは見た目が良くなく、設置後の気密性にも影響が出るため、TIG溶接などに対応し、熱歪みや仕上がりまで確認できる業者に依頼することが大切です。
図面がない工場の空調設備を特注対応で解決するには?
図面がない、既製品が合わない、工期が短いなどの条件が重なる工場の空調設備課題を解決するには、製作から施工までを一貫して担える体制が必要です。
具体的な対応方法を紹介します。
写真や手描きスケッチから相談できる
発注担当者が正式なCAD図面を用意できなくても、現場の写真や手描きのスケッチ、おおよその寸法メモがあれば製作のスタートラインに立てます。
既存設備の写真、天井まわりの状況、接続したい機器の位置関係を共有することで、技術者が現場の状況を読み解き、必要な形状と寸法をCADデータに落とし込みます。
大切なのは完璧な資料ではなく、現場の状況を正確に伝えようとする姿勢です。わかる範囲の情報を持って相談することで、製作に必要な条件を整理できます。
製作から施工まで一社対応で手戻りを減らせる
ダクト製作と現場施工を別々の業者に発注すると、サイズ違いや仕様の伝達ミスが発生したとき、原因究明と対応に時間がかかります。工場のライン停止が長引けば、それだけ生産への影響も大きくなるでしょう。
CADデータの作成からレーザー加工、溶接、塗装、現場への取り付けまでを自社内で完結できる体制であれば、工程間の情報の齟齬が生じません。仕様変更の判断も素早く行えるため、タイトな工期にも対応しやすい体制が整います。
作る職人が取り付けまで見るから寸法トラブルを防げる
製作と施工を同じ職人が一貫して担当する多能工体制では、現場への取り付け方法を熟知した状態でダクトを製作可能です。天井裏のどこにどう収まるかを見越した上で形状や寸法を決めるため、現場に持ち込んでから寸法が合わないという事態を防げます。
分業制では設計者と施工者の間で意図がずれることがありますが、一人の職人が全工程を把握して進める体制では、そのリスクが大幅に削減されるのが特徴です。製作と施工の知識を両方持つ職人が担当することが、仕上がりの精度を保ち、現場作業も進めやすくなります。
工場の空調設備の特注製作と施工は兼子工業へご相談ください
兼子工業株式会社は、愛知県犬山市を拠点に板金加工・溶接・塗装・空調設備施工までを一貫して対応するものづくり企業です。
工場の空調設備に関わる特注ダクトやフード、集塵まわりの部材製作から現場への施工まで、自社内で完結するワンストップ体制を強みとしています。
図面がない状態からでも、現場の写真や手描きスケッチをもとに仕様を整理し、CADデータの作成から製作、施工まで一社で進めるのが特徴です。
ステンレスの精密溶接や、梁や既存配管を避けた特注形状への対応も、多能工の職人が製作から取り付けまで責任を持って担当します。
愛知県内の工場で空調設備の修繕・改修・新設をお考えの方は、お問い合わせフォームまたはお電話・FAXからお気軽にご相談ください。