工場や厨房に合う空調設備を選ぼうとすると、機器の種類が多すぎてどこから手をつければよいか迷うことがあります。
パッケージエアコン、ダクト式、天井カセット式、スポット空調と選択肢は幅広く、メーカーのカタログを見ても自社の現場にどれが合うかはなかなか判断しにくいものです。
さらに、空調機を選んだ後に、既存のダクトとの接続方法や特殊な環境への対応という別の課題が出てくることも少なくありません。
この記事では、空調設備の種類と用途ごとの特徴、現場で起きる課題、一社対応で得られるメリットまでを解説します。
空調設備の種類と用途別の特徴
空調設備を選ぶうえでまず押さえておきたいのは、設備の種類と目的の違いです。
同じ冷暖房でも、建物全体を管理する方式と個別に対応する方式では、仕組みも施工方法もまったく異なります。
全体を管理するセントラル空調と個別空調の違い
セントラル空調は、一つの機械室で冷暖房を作り出し、ダクトを通じて建物全体に供給する方式です。大型のビルや工場に向いており、温度や湿度を一元管理できるのが強みといえます。
一方、個別空調は部屋ごとや区画ごとにエアコンを設置する方式で、必要な場所だけを冷暖房できるため、施工コストを抑えやすいのが特徴です。
どちらが適しているかは、建物の規模と使い方によって変わります。大型工場でゾーンごとに温度を細かく制御したい場合はセントラル空調が合いますが、小規模な作業場や店舗では個別空調のほうが現実的な選択肢です。
ダクト式と天井カセット式はどう使い分けるか
ダクト式空調は、室内機からダクトを延ばして複数の吹き出し口から空気を供給する方式です。天井裏にダクトを通す必要があるため施工の手間はかかりますが、見た目がすっきりとまとまり、広い空間を均一に冷暖房できるのが特徴です。
天井カセット式は、天井に埋め込んだ室内機から四方向に空気を吹き出す方式で、ダクトの引き回しが不要なため比較的簡単に設置できます。
ただし、空気が届かない場所が生じるため、工場のように天井が高く広い空間では、補助的な設備との組み合わせが必要です。
工場や厨房では空調と換気を分けて考える
工場や厨房の特殊な環境では、全体空調だけで作業環境を整えることが難しいのが実情です。
溶接や切削を行う場所では熱や粉塵が集中して発生するため、発生源の近くでは、作業者を冷やすスポット空調と、粉塵や油煙を排出する局所排気を分けて検討します。
厨房では調理による熱気と油煙を素早く屋外へ排出する排気フードと換気ダクトが欠かせません。
全体の冷暖房と合わせて、発生源に直接アプローチする設備をセットで検討することが、現場の空気環境を整えるうえでのポイントです。
空調設備の種類を選んだ後に生まれる現場の課題
機器の種類が決まっても、それを自社の現場に収める段階で想定外の壁にぶつかることがあります。
特に工場や厨房では、設備固有の難しさがあるため、事前に把握しておくと対応がスムーズです。
空調機本体と既存ダクトの口径が合わない
空調機を新しくしたとき、既存のダクトとの接続口径が合わないという問題が頻繁に起きます。機器メーカーごとに接続部の形状や寸法は異なるため、既製品のアダプターでは対応できないことも珍しくありません。
この場合、サイズの違うダクト同士をつなぐための集塵レジューサーや角丸変換ダクトといった特注部材を製作する必要があります。現場の寸法をミリ単位で測定し、ぴったり合う部材を一点ものとして製作できる板金加工の技術が求められるのがポイントです。
油煙や粉塵が多い環境では換気ダクトとの連動が必要
飲食店の厨房や金属加工を行う工場では、油煙や粉塵が常に発生するため、空調機単体での対応には限界があります。冷暖房だけでなく、汚染された空気を確実に屋外へ排出する換気ダクトとの連動が不可欠といえます。
特に厨房では、空調で冷やした空気が排気ファンによって外へ逃げてしまうバランスの問題も生じます。給気と排気のバランスを考慮した設計と、油煙に耐えられる素材の設備を長持ちさせるための重要なポイントです。
古い建屋では図面がなく接続部品の手配に困る
20年以上前に建てられた工場では、当時の施工図面が残っていないことがほとんどです。どこにどんなダクトが通っているかを把握できないまま、接続部品を手配しなければならない状況は担当者にとって大きな負担になります。
さらに、古い規格の設備には現行品との互換性がなく、同等の部品が市場に流通していないケースも少なくありません。こうした状況では、現物を実測して同等品を一点ものとして製作する対応が確実な解決策になります。
特注ダクトと空調施工を一社で対応してもらうメリット
空調設備の選定から周辺ダクトの製作、現場への施工まで、複数の業者に分けて依頼するとさまざまな問題が生じます。
一社にまとめて依頼することで得られる3つのメリットを紹介します。
製作と施工が分かれると連携ミスと納期遅延が起きやすい
ダクトを製作する業者と現場に取り付ける業者が別々の場合、寸法の伝達ミスや仕様変更への対応で手戻りが生じやすくなります。工場のラインを止めて施工を行う場合、ダウンタイムが予定より長引けば生産への影響も大きくなるでしょう。
製作から施工まで一社が担う体制であれば、情報の伝達経路がシンプルになり、変更が生じてもすぐに対応できます。外注先への確認待ちが発生しないため、タイトな工期にも対応しやすいのが強みです。
図面がなくても写真やスケッチから対応できる
既存設備の改修では、正式な図面が用意できないことが多くあります。そのような場合でも、現場の写真や手描きのスケッチ、おおよその寸法メモがあれば製作を進めることができます。
現場に実際に足を運んで寸法を確認し、CADデータに落とし込んだうえで製作に入る流れが確実な方法です。発注担当者は完璧な資料を用意することにこだわらず、現場の状況をできるだけ正確に伝えることから始めるとスムーズです。
製作と取り付けを見越して手戻りを減らせる
製作と施工を同じ職人が一貫して担当する体制では、取り付け方法を熟知した状態でダクトを製作できます。天井裏の梁をどう避けるか、既存配管とどう取り合うかを見越したうえで形状と寸法を決めるため、現場に持ち込んでから収まらないという事態を防げます。
設計者と施工者が別々だと意図の伝達にずれが生じやすいですが、製作と施工の両方を把握した職人が担当することで、品質と精度を一貫して管理できるのが強みといえます。
現場に合わせた空調・ダクト設備の選定から特注製作・施工まで兼子工業へご相談ください
兼子工業株式会社は、愛知県犬山市を拠点に板金加工・溶接・塗装・空調設備施工までを一貫して手がけるものづくり企業です。空調設備の種類選びの段階から、特注ダクトや周辺部材の製作、現場への施工まで自社内で完結するワンストップ体制を強みとしています。
図面がない状態からでも、現場の写真や手描きのスケッチをもとに仕様を整理し、ステンレスエルボーや集塵レジューサーといった特注部材の製作から取り付けまで対応します。
製作と施工を同じ職人が担当する多能工体制のため、現場での寸法トラブルや手戻りが生じにくいのが特徴です。
工場や厨房の空調設備でお困りの際は、お問い合わせフォームまたはお電話・FAXからお気軽にご連絡ください。